医パロおまけ 3話目(r18)

 

 

自室に戻ったヴァレーは、先程のシャワールームで自らの身体に注がれていた部下の視線を気にかけていた。あの受刑者の件もあり、入念に身体のチェックはしたのだが。身体に残る跡などは、やはり見当たらなかった。ならば、体型か何かの問題だろうか?
確かに、運動不足である事は自覚していた。先日の検診結果でも中性脂肪の値がやや高めに出ていたし、腹囲も僅かであるが増えていた。今さら見た目など気にしても仕方はないのだが、身体はやはり資本である。

調書の体裁をあらかた整え、椅子に身体をもたれさせると、先ほど纏わせた香水の芳香がふわりと鼻先を掠めていった。

——そういえば、あの店の彼は元気にしているだろうか? 父から譲り受けた薬問屋を辞め、フレグランス専門店として華々しく再建させたが、軌道に乗せるまでは随分苦労をしたという。最近は紹介や口コミなどで堅実にリピーターを増やし、経営は順調のようだ。

肌馴染みがよく、品のよい香りを吸い込むと、ヴァレーは深く息をついた。だが、ずっとこうしてはいられない。彼は時計を見ると、書類を纏めたファイルを手に重い腰を上げた。

一歩、また一歩と長い廊下を進んでいく。あの男のオフィスに近づくにつれ、先程までの日常は非日常へと歪み始めていた。じわじわと心臓が締め付けられるような、胃の奥が痛むような感覚が身体を苛む。こうした感覚が残っているという事は、理性の上では決して、ああした行為を好いている訳ではないのだろう。だがそれも、もう時間の問題だと感じていた。
溜め込んだ欲やストレスを過激な行為で発散させる事に慣らされてしまった身体。一時的にであれ、何も考えられなくなるほどの鮮烈な快楽に脳内が埋め尽くされ、受け止められる限界まで感じさせられて——全てが終わった後、冷静を取り戻した頭に込み上げるのは吐き気と後悔と罪悪感。だが、いつしか身体は再び、同じ快楽を求め始めてしまう。

目的の場所へと辿り着いたヴァレーは、重厚なドアの前に立つと数度ノックをした。その少し後に、電子錠の回る音が響く。厚みのある黒鉄の扉を、彼は体重を乗せて開いた。この部屋の中ではどれだけ叫ぼうとも外に声が漏れることなど無いのだと、管理官は自慢げに語っていた。

「——来てくれたのか。思ったよりも早かったね」

投げかけられた声、そして軽快な口調に、ヴァレーは今朝の受刑者とのやり取りを思い出すと、冷ややかな眼差しを向けた。

「……一体、どれだけ私を辱めれば気が済むのですか?」

辛辣に放った言葉と同時に、手にしていたファイルを管理官のデスクに向けてぞんざいに投げつける。

「どうだ? 彼は話したのか? 正直、上手くいくとは思っていなかったが」

侮るようなその言葉に、ヴァレーはついに苛立ちを隠せなかった。

「——では何か? 思い付きであのような下劣な取引を持ち掛けたのだと? ふざけるのもいい加減にしてください」

「どうした、君らしくもない。別に何が減るわけでもないだろう。ああした連中の話を聞くのが、ここでの君の仕事じゃないか」

「だからと言って、あんな——」

「君も見ただろう。度重なる責問で、あの男の身体機能はとうに奪われている。危害を加えられる恐れなど皆無だ。口先だけのやり取りで未解決事件が次々に解決するのなら、これほど費用対効果の高い事もあるまい? これ以上責問や裁判を繰り返すのは、経費の無駄遣いというものだよ」

「そうですか。受刑者に対する人道的、そして費用面でも合理的な解決法を示していただき、感謝いたしますよ。それでは、もう今日はこの辺りで結構ですか? 私も疲れていて……」

「おいおい、何のためにここまで来たんだ? 君も男なら分かっているだろう」

踵を返そうとするヴァレーを制止するよう、管理官は立ち上がった。

「それに、その香り。風呂上がりだとわざわざ知らせているくせに。それで誘っていないとは、君にも落ち度があるというものだ」

「……風呂上がりの身嗜みひとつで欲情されるなどとは思いもしませんから」

「私がケダモノだとでも言いたいのか? あの男の話でしっかり感じていたくせに」

「何を? そんな馬鹿な事を……」

管理官はヴァレーに近づくと、手にしたリモコンのスイッチを押した。次の瞬間、あの男の声が室内に響き渡る。

「——ッ?!」

「流石、男ばかりを手籠めにした強姦魔だな。行為の仔細は非合法のアダルトビデオも裸足で逃げ出すほどだ。惜しむらくは、出演者はあの男を除き全員殺されてしまっているという事だが。闇サイトにでも流せばひと財産は稼げただろうにな」

流れ続けるあの男の不快な声。ヴァレーに聞かせるためだけに脚色され、執拗に語られていく行為の描写。
再び脳裏に思い起こされる鮮烈で猥雑なイメージに、再び呼吸は浅く、早くなっていく——。

「そもそもだ。君に拒否権などない。そうだろう?」

管理官はヴァレーの前に立ちはだかると、白面を覗き込んだ。ヴァレーよりも一回り以上は大きく、武芸に通じ引き締まった体躯は権力に肥え太っても尚、圧倒的な力の差を感じさせた。

あの受刑者の下卑た笑い声が室内に響き渡る。

『……最後にゃ締まりが無くなってぶっ倒れたままさ。殺す前から死んでるみてえだろ。まあ、お堅い先生はそんなぶっ壊れるほどの過激なセックスなんて経験ないんだろうなあ?』

「——さあ、それを外して」

ヴァレーは茫然としたまま、自我を奪われたように立ちすくんでいた。だが、その声を聞くと目を伏せ、ゆっくりと頭の後ろに手を回していった。

「素直じゃないか。初めからそうしていれば良いものを」

男はベルトに手を掛けると、下履きを引き下ろし始めた。それと同時に面を外したヴァレーの頭を押さえ付け、自らの前に膝を付かせる。

ヴァレーにはもう、抵抗する気も失せてしまっていた。拒否を示し、解放されるのならばそれでも良い。だが、自らの意志でここに来ている以上、そんな事はあり得なかった。ならば、ここからはどうにか理性と折り合いを付け、この身体を明け渡すだけだ。

下着の上からでもはっきり分かるほどに主張を見せた男の存在、そして目の前に曝け出されたものに向けて——ヴァレーは口を開くと、舌を纏わせ根元までをも咥え込んだ。
生温かい肉塊。えぐみと僅かな酸味が口内に広がっていく。相変わらず好むことはできない匂いと味に、目を瞑る。張り出した先端、硬さを増していく竿の部分に舌を這わせ、頭を揺らした。

「っは……ぁ、相変わらず最高だな……」

その声に、上目遣いで男を見る。他の男に仕込まれた性技を惜しみなく披露するよう、ヴァレーは熱く絡み付くような舌技で男のものを責め立てた。

「……そのいやらしい顔、あの受刑者にも見せてやりたいよ。……ッ、ああ……。君にこんな特技があったとはね。これで客が取れるんじゃないか? 次の対話の時に、奴にも施してやったらどうだ。尤も、機能するかどうかは知らないが……ッ……!」

ヴァレーはその言葉を無視するよう、無心で男のものに奉仕を続けていく。男は次第に感じ入るとヴァレーの頭を押さえ込み、前後に揺すりながら喉奥までをも強く犯していった。

「……んっ、ん、ぐ……っ、む、っ……!」

「あぁ、まずい……待て……、待て……ッ、もう出すぞ……っ! 溢さずしっかり飲み込め……っ!!」

「ん、ん゙〜〜〜〜ッ……!!」

逃げられないように頭をがっちりと押さえ付けられ、喉奥目掛けてぶちまけられる男の欲望に、ヴァレーは苦しげに目を細めた。だが、どうにか咽せ返ることも吐き出すこともなく全てを飲み下すと、まだ口内に収めたままの陰茎に舌を絡め、最後の一滴までをも吸い尽くしていく。

「……ふ、ぅ……っ」

ぷちゅ、と音を立てて、男の竿の先端から唇を離す。苦味の残る口内の違和感に顔を顰めつつも、文句ひとつ言わないヴァレーの従順な姿に男は圧倒的な征服感を覚えていた。

「……前から思っていたが、言われなくても後処理までしてしまうとは、やはり男遊びが過ぎるんじゃないか? 相手は誰だ。まさか、本当に売りでもしているんじゃないだろう? それは流石に問題だよ。室長である君の風紀が、そこまで乱れているとは」

投げかけられる笑い声をよそに、ヴァレーは押し黙ったまま口元を手で拭うと周囲に目を走らせた。少し前から聞こえ始めていた小さな駆動音。部屋の隅にある監視カメラ、その電源がいつの間にか入れられていた事に気付く。

その向こうにある視線が誰のものかなど、もはや考えずとも分かっていた。それはあの取引の延長上。管理官が持ち掛けた事への見返りに違いない。事件の詳細を明かせば、とでも言ったのか。既にこの男との関係は筒抜けにされていたようだが、行為そのものを晒されるなどとは思いもよらなかった。次にあの受刑者と顔を合わせた時に、一体どのような言葉を投げかけられるのか。ヴァレーはその想像にぐらりと目眩がした。

立ち上がれずに数回咳き込んでいると、目の前の大きなデスクに上体を伏せるよう命令が飛ぶ。ヴァレーはふらつく身体を引き起こすと、その指示に従った。突き出した腰を掴まれ、乱雑に下穿きが引き下ろされる。しばらくは下着の上から尻を撫でられ、揉みしだかれていたが、いよいよそれも露わにされ、剥き出しになった臀部、その谷間にローションが垂らされた。

男の指が潤滑剤に濡れた尻をなぞり、谷間に押し入る。その中心にある窄まりが指先にくすぐられ、焦らすように弄ばれ——ヴァレーが堪えきれず、甘く息を吐き始めると共に——ずぶずぶと指先が埋められていった。

「ふ、ぁ……っ、ん……ッ」

「何だ? 初めから余裕で飲み込むくらいにふやけてるじゃないか。誰がケダモノだって? 君の方こそ、そんな男に犯されるのを待ち侘びていたくせに」

「ん、、あ゙、あ、っ、は、ぁ……!」

差し込まれた複数の男の指が、直腸内を掻き回す。指先がわざとらしく前立腺を掠めると、ヴァレーの喉からは堪えきれない喘ぎが漏れた。次第にその場所に狙いを定めた指の動きは熟れたしこりを陰湿に突き上げ、指先で弾き、柔らかく押し潰した。その度ごとに脳髄を貫く性感に、ヴァレーは見る間に腰砕けにさせられる。

「ああ゙、いや、あっ……んんっ……! そこ、駄目です……ッ、は、あぁぁっ……!!」

無意識のうちに足を開き、腰を落としてガクガクと痙攣して喘ぐ淫らな姿に、男は責める手を緩めずに囁いた。

「ほら……どうだ? ここにもっとでかいのが欲しくなってこないか? この穴が開きっぱなしになるまでぎちぎちに埋め尽くされて、身も心も雌に堕とされたいんだろう」

「——ッ、そんな……、ぁあ、あ゙ぁあ゙ぁあッッ……!」

机の上でしがみつく場所もなく、いたずらに手が振れ——先程机に放ったファイルが、床に弾き落とされた。

「ん、んんんんっ……!」

前立腺を執拗に虐められ、快楽に耐えかねた身体が大きくビク、ビクンと跳ねる。それと同時に、腸壁の奥から波打つような痙攣が全身に波及し、男の指先をきゅうきゅうと締め付けた。

「どうした? もうここで感じてるじゃないか。嫌な男に尻を弄られてメスイキするド変態のくせに、よくも人の事を言えたものだな。ほら、これだけじゃ帰れないだろう?」

男の中心はヴァレーの媚態にすっかり鎌首をもたげていた。充血し、膨らんだ先端は先走りの体液を纏って赤黒く濡れている。その肉の塊が、ヴァレーの尻の谷間にずしんと乗せられた。

「……ッ、は、ぁ……」

男の言葉通り、ヴァレーの理性はもう限界だった。指を抜かれた腸壁は未だヒクヒクと疼き、更なる刺激を欲して止まなかった。ヴァレーは無意識にも近い状態で、徐に自らの両手で尻たぶを掴むと——左右に広げ、誘うように中を見せつけた。

「ここを、どうして欲しいんだ?」

男の先端が、ひくついている窄まりをずりずりとなぞり上げる。少しの圧迫と共に先走りが塗り込まれ、粘ついた音、色付き、敏感になった入り口に痺れるような官能が与えられる。腰は男のものを早く受け入れたいとばかりに、物欲しげに揺れていた。

ヴァレーは再びカメラを見た。今から、この管理官の雄に征服されてしまう所が映されてしまう。男の身体を受け入れ、浅ましく求め、淫らに喘いで、愉悦に狂ってしまう姿が、あの受刑者の男に全て見られてしまう。だが、今はその事実すら背徳に変えられるような錯覚が脳髄を甘く焼き溶かしていた。知られる前にはもう戻れない。これからはこの男たちに、より過激な要求をされてしまうのか。彼らの欲の全てを、この身体で受け止めさせられるのだろうか。

ヴァレーの中心は与えられる快楽への期待と背徳の想像に、痛いほどに張り詰めていた。

「……ッ、……ああもう……っ、貴方のそれで、お気の済むまで嵌めてください……!!」

「いいだろう。なら、もう手加減はしてやれないからな」

先程よりも確実に、窄まりを突き破ろうと力を込め、押し当てられる男性器の圧迫感。ヴァレーが被虐の愉悦に甘く息をつき、僅かに身体の力を抜いた瞬間——雄の欲望が、ヴァレーの体内を鮮烈に貫いた。

「ん、あぁあっ……!! く、は……ッ」

僅かな痛みは待ち侘びていた官能に上書きされ、目の前が幾度も白く弾けていく。内側から男に支配されてしまった事実に脳が犯され、押し殺せない声が漏れる。
ヴァレーは尻たぶを割り開いていた手を、埋め込まれていく男のものにあてがった。こんなに太く、逞しい雄の欲が、身体の中に飲み込まれていくなんて——。
その事実を認識した途端、下腹の奥がまたひくひくと疼いた。

「素直な身体だな、こんなにいやらしく男を受け入れて……ほら、どんどん飲み込んでいくぞ」

「あ、だめっ、や、ぁ゙、あ、あ゙、ッ」

男の言葉がその事実を殊更に煽り立てていく。腸壁は男のものを滑らかに包み込み、熱くうねって自ら導き、深く迎え入れようとしていた。

「ゔ、あぁ、っ、ん、んっ、っ、う……!」

「これでどうだ……っ? 俺のものに堕ちろ……ッ!!」

時間をかけてじっくりと埋め込んだものを——男は勢いよく引き抜くと、最奥までどちゅんと貫いた。

「あ゙ぁっ、あ゙、あ、あぁ゙ぁ〜〜〜〜ッッ」

全身に波及する痺れがびりびりと身体を震わせる。
征服された場所から広がる官能に酔わされ、最大感度で男の欲望を受け入れる。内壁がそれを欲しがって蠢き、搾り上げようとヒクついた。

「また性懲りもなくメスイキしやがって…! こうして男の竿を搾り取るのが生きがいなんだろう?」

「……っ、そんな事……っ、ゔ、あ゙、あ゙ッ」

ヴァレーの言葉を遮るよう、男はがっちりと腰を掴むと、勢いに任せて腰を打ち付け始めた。

「っぁ……うっ、激し……ッ……! あ゙ぁっ、奥、また、クる……ッ」

再び男の竿を締め付けるように下腹が小刻みに長く痙攣していく。

「あぁ、凄いぞ……! ほら、しっかり見せつけてやれ……!」

その言葉に、この痴態が隠されたものでない事を確信した だが、一度快楽のスイッチが入ってしまった身体では、それですら興奮の材料に置き換えられてしまう。

「はぁ……っ、いや、貴方……ぁ」

ヴァレーは結合部を繋げたまま、伏せていた上体を持ち上げるとそのまま半身を捩り、片方の太腿を持ち上げて結合部を晒け出した。深い挿入は得られないが、カメラに向けて視覚的に抜き差しされるそれと、ぐぽぐぽといやらしい音が辺りに響き渡る。

「この音を聞いてるだけで出してしまいそうだ……! このっ、ド淫乱ケツマンコが……!」

「ん、うっ、はぁ……っ、も、だめで、す……あぁっ……頭、溶けそ……っ……」

男はもう我慢がならないとばかりにヴァレーを壁際に押し付けると、自慢の体躯を駆使して両方の太腿を担ぎ上げ——自らの身体の上に深々と串刺した。

「あ゙、あ゙ぁあ゙〜〜〜ッ!!」

そり上がった亀頭が前立腺を激しく突き上げる。その度に、壊れてしまったかのような絶叫が辺りに響き渡った。

「どうした? もうすぐ潮でも吹くんじゃないか? 君がいやらしい汁を飛び散らせるところもしっかりと映しておいてやるからな」

男に抱え上げられ、串刺しにされ、揺さぶられるたびに自重で根元までを受け入れてしまう。自らの意志で歯止めを掛ける事のできない強制的かつ激しい挿入に、ヴァレーの身体のリミッターは崩壊寸前だった。

「あ゙、ぁ゙ッ、待って……深い……っ、奥、だめです……っ、それ、何か、っ、出そう……、あ゙、ぁぁぁぁ゙あッッ……!」

ぐぽぐぽと最奥の場所を執拗にこじられ、ヴァレーは絶頂に達してしまった。全身がふわりと弛緩し、快楽の海に呑み込まれていく。だが、その絶頂は通常の射精の感覚とは異なり——先端から透明な液体が弾けるよう、とめどなく溢れ出していった。

「いやぁっ、これ、何ですか……ッ、あぁっ、もう、突かないでっ、奥、また……ッ」

「……驚いたな。まさか本当に潮まで吹くなんて。そんなに気持ち良かったのか?」

男の抽送の度に、ヴァレーの先端からは透明な液体が押し出されるように迸った。

「まだまだ出てくるぞ、ほら、ほら……ッ!」

「あ゙、や゙あぁぁ……っ、も、許して……これ以上は、もう……」

ビクビクと痙攣を繰り返す身体で、ヴァレーはうわごとのように形だけの否定を繰り返した。男の首に手を回し、びしょ濡れになった結合部をしとどに繋げたまま、艶かしく腰を揺らしてしまう。男はしなだれかかるヴァレーの身体を持ち上げたまま、ソファベッドに場所を移すと嵌め込んでいたものをぐぽんと引き抜いた。拡張され、赤く口を開いた淫靡な肉壁は、ひくひくと悶えたままぽっかりと緩みきっていた。

「ッはぁ……はぁっ……いい眺めじゃないか。——そういえば、彼がいいものをくれてね。ぜひこれを試してみてほしいと」

男は引き出しから何やら器具を取り出すと、自らのものに装着し始めた。

「過去、これで堕ちない男は居なかったそうだよ。それに、装着した方も持続力が増して何度も繰り返しに行為を楽しめるとか」

「……ふ、ぁ……?」

「君には口で説明するより、身体で味わってもらう方が早いだろう?」

性具を装着し、振り返った男のものには、見るもグロテスクな突起が無数に纏わり付いていた。その突起の一つ一つが、まるで生き物であるかのようにうねうねと蠢いている。その光景に、ヴァレーは目を疑った。淫靡な性具に興奮してしまうというよりも、その得体の知れない造形に生理的な恐怖を覚え、思考を奪われてしまっていた。

「それ……何ですか、っ……」

「あの受刑者からのリクエストさ。親切なヴァレー先生に、最高の体験をして欲しいそうだよ。……ッ、凄い感触だな。この突起が君の中を埋め尽くしたらどうなるのだろうね」

ヴァレーは先ほどの激しい突き上げの余韻に、未だ全身が甘く痺れていた。指先はひりひりと疼き、最奥をこじられた腸壁は擦られ、充血し、触れられてしまうだけで敏感に反応してしまうだろう。それが、目の前の無数の突起で激しく犯されてしまったら——。

「今は……まだ……ッ、もう少し休憩させ……」

管理官は横たわり、逃げ出す事もできないヴァレーの身体の上に覆い被さった。そして、逃げ腰になっているヴァレーを押さえ込むと——特注の性具を装着した凶悪な陰茎をずぶずぶと捩じ込んだ。

「いや、ぁ、待ってくださ……っ、や゙め、ッぁ、あ゙ぁぁぁあ゙あ〜〜〜〜〜っ?!!」

「どうだ、これの味は……? ……ッぁ、待て、ッ、おい、締め付けがすごい……っ!」

「はぁ、っ、あ゙っ、あ、ん゙……ん゙んんん゙っ……」

無数の触手が敏感になりすぎた腸壁の中を余す所なく刺激し、這い回り、未だかつて感じたことのない耐え難い快楽刺激を脳髄に植え付けていく。引き抜き、また突き入れられる度、目を白黒させてよがり続けるヴァレーの痴態に、男も興奮を隠しきれず行為に及び続けた。ヴァレーの身体は次第にその快楽を受け入れると、彼の意思にかかわらず、本能からより深く、奥へと男のものを飲み込みんで離そうとしない。彼本来の役割では無いはずの受胎の欲求。種付けを待ち侘びるような動きに、管理官は堪らずヴァレーの尻を持ち上げると、その上から全体重を押し付けて犯していった。ばちゅ、ばちゅんと響く過激な肌を打つ音が部屋に響いては行為の激しさを物語る。ヴァレーは白目を剥いたまま、普段の彼からは想像も付かないような太く潰れた声を喉奥から垂れ流し続けていった。

「……ッ、これは最高だ……っ……。あぁ……っ、もう、出るっ、中に出すぞ……ッ! 触手チンポに堕ちて孕め……ッ!」

男は自らの唸り声と共に、滾る欲望の全てをヴァレーの直腸内にぶち撒けた。だが、大量の精を放ってもなお、男の楔は萎えることなくがっちりと嵌まり込んだままだ。

「……これは凄いな、まだまだできそうだ……っ」

「うぁぁ……っ、あっ……はぁ……っ」

腸内は放たれたばかりの大量の精液に満たされていた。そのぬめりを潤滑にして、触手塗れの男のものが再び出入りを繰り返していく。突起に絡みついた白濁がまた彼の身体に送り込まれ、ヴァレーは絶え間なく痙攣し、自らの意思で身体を動かす事もままならずに喘ぎ続けていた。男は寝バックの体制を取ると再び覆い被さった。抽送は次第に激しさを増し、粘度を増した白濁が挿入口の周辺を汚していく。

ヴァレーは受け止めきれない快楽に涙と嗚咽を漏らし、自らの身体を狂ったように犯し続ける男に屈服していた。とうに侵入を許した結腸弁は度重なる苛烈な行為に緩みきり、もはや男の挿入を妨げることもない。入り口のくびれは、触手を纏った陰茎を甘く刺激するだけに堕ちている。そして、秘められたはずの最奥の部屋は度重なる男の吐精を受け止めきれず、白濁に溢れ返っていた。
その苛烈な行為の音に混じり——聞こえる筈もないカメラの小さな駆動音が、頭の奥に鮮明に焼きついて離れない。

——どうだ? 最高だったか?

終わりと解放。全身の倦怠感に遠のく意識の中。聞こえた声は、あの受刑者のものに思えてならなかった。