アラームの音が室内に鳴り響く。
時刻は午前五時を指していた。
——どうやら机に突っ伏して眠ってしまっていたようだ。
ヴァレーは上体を起こしてその電子音を止めると、作業途中の書類に目を落とす。
今日の講義資料はもう出来上がっているが、調書があと少しまとめきれていなかった。
先に身支度を済ませようと思い、彼は施設内に備え付けの簡素なボックス型のシャワールームへと向かう。
そこは小さなスペースだが、ほんの少しでも職場から離れられるとあって、一息がつける場所だった。
まだ眠気を引き摺っている頭にシャワーを打たせると、意識が徐々に覚醒へと持ち込まれていく。
——取り急ぎの服を着てシャワールームを出ると、ヴァレーの前に一人の男が姿を現した。
「ああ、こんな時間に誰かと思えば、ヴァレー君じゃないか」
「どうも。貴方こそ早いですね。何か御用ですか」
ヴァレーはまだ濡れたままの髪を無造作に、その首から下げたタオルでかき上げる。
この場所は勤務している者のプライベートエリアであるため、わざわざ素性を隠すための面を付ける義務はない。とはいっても、もう習慣になっているからだろうか。面を付けていない状態で付き合いの浅い人間に話し掛けられるというのは、どうにも好ましくなかった。
この男は此処の管理官だ。彼はこの組織の定員や編成の管理を行っており、定員の増減に関する事は必ず彼と協議をしてその指示を仰ぐ必要がある。
普段はモニタールームに居座り、この施設内の様子をつぶさに監視していた。
尤も、彼はヴァレーにとって苦手な相手だった。
初めの立ち回りが悪かったせいもあるのだろう。一度書類の不備を指摘してしまってからというものの、何らかの敵意や、悪意を向けられてしまっている気がしていた。
ヴァレーには彼を貶めるような意図は微塵も無かったのだが、その指摘一つが、どうにもこの陰湿な男のプライドを刺激してしまったようだ。
「また泊まりか。君も大変だね」
「ええ、おかげさまで。同情なさるなら、さっさと人員増加の書類にでもサインしていただけませんか」
ヴァレーは男の顔を見る事もなく、何の感情もこもらない声で言った。どうせこれが無駄な会話となる事を知りながら。
「何を言っているんだ。先日君の後輩がきたばかりだろう」
目の前の男はわざとらしく、その目を丸くした。
「こちらが最低限希望している人数にはまだあと四、五名は足りませんよ。王都肝入りの新設部署、だったのでしょう。もう五年も経つので新設とも言えませんが、最初に聞いていた編成の話はどうなりましたか?」
「ああ。君のおかげで十分成果は上がっているからね。上層部もそれ以上は興味がないんだろう」
一瞬ヴァレーは、——私が辞めてしまったら? という一言を口にしようかと思ったのだが、すんでの所で思い留まった。その辞表を受理するのは誰あろう、目の前の男なのだ。正直、新しい分析官が配属された暁には異動願を出そうと考えていた。しかし、やって来たのは偶然だろうか、ヴァレーのよく見知った後輩だったのだ。
この閉鎖的な空間の中で知った人間に再会ができると云うのは嬉しくもあったのだが、まさか彼をスケープゴートにするわけにはいかない。
その為に、今は自らの異動の望みについては自制せざるを得なかった。見知った人間が配属されたのは何も目の前の男の所為では無いのかもしれないが、彼がこの施設の人事権を掌握しているのだから、意図的なものなのだろうか——という思いがどうしても拭いきれない。早く此処から立ち去ってくれと願いながら、男の高慢で、陰湿そうなその顔を鬱陶しそうに見据えていた。
「——そう怖い顔をしないでくれよ。ああ、今日は大講堂での講義だったか。そんな姿のまま引き留めて悪かったね」
管理官は自らに向けられた視線の意図を汲み取ったのか、シャワールームから出たばかりで立ち尽くしているその姿を一瞥すると、冷笑を浮かべて立ち去っていった。
全く、くだらない立ち話ですっかり身体が冷えてしまったじゃないかと、ヴァレーは心の中で悪態をつき、その肌寒さに小さく身震いをする。
時計に眼を遣ると、時刻はもう少しで六時となる所だった。七時までにあと二名分の調書を仕上げ、後輩が出勤して来るまでには講義の用意をしておかなければならない。無駄な時間を使ってしまったが、此処からは時間との勝負だ。今は余計な事は考えずに目の前の仕事に集中しよう——。
彼は新しく下ろされた白衣を引っ掴むと、手早くその装束に身を包んだのだった。
◻︎
「先輩! 飯、食いに行きませんか? せっかくこっちまで出てきてますし」
講義は午後一時三十分から、場所は王都上層の大講堂で行われる。青年は快活に、その先輩に声を掛けた。
今日は先輩の晴れ姿、もとい彼の講義を間近で見られる絶好の機会だ。
青年はこの日を心待ちにしていた。それに、今日こそは外食に誘われてくれるだろうかと、小さな期待に胸を膨らませていたのだった。
「ふふっ、そうですね。そんなに仰るならご一緒しましょうか。場所は、貴方の好きな所で構いませんよ」
ヴァレーは度重なる彼からの食事の誘いにやや辟易はしていたものの、この後輩はよほど外食が好きなのだろうなと、此度の声掛けについ吹き出してしまった。
彼の言う通り、今日はわざわざこの王都上層まで出て来ているのだ。その熱心な誘いを、断る理由も無かった。
「え、いいんですか? うーん、それなら新しく出来た定食屋はどうでしょう。先日オープンしたばかりで、結構並ぶらしいんですが、なんと言っても私たちにはこのパスがありますからね! 個室ならいつでも空いていますし、VIP待遇というやつですよ」
そう言うと、彼は王都発行のパスを嬉しそうに掲げて見せる。
「貴方、意外と流行り物好きなのですね」
「え? あはは、そうかもしれません。並んでいる所を見ると、美味しいのかなって、つい」
「あまり行列には並びたくありませんが、個室が用意されているというのはこうした時には便利ですね」
「先輩、本当に外食しないんですか。せっかくパスがあるのに?」
「勿論、こうして外に出る機会があればそうしますよ。ただ、この見た目もあるのと、煩わしいので混雑している場所は出来るだけ避けますが」
ヴァレーはお互いの姿の間に小さく指を往復させると、周りにその視線をす、と動かした。
つられて周囲にそっと目を向けると、行き交う人々から此方に向けて頻繁に視線が注がれている事に気付く。
「——あっ」
王都付きの医師というだけで珍しい存在なのに、こうして二人で歩いていれば確かになかなか目立つのだ。言われるまでは自覚がなかったが、青年は大声を出していた事が途端に恥ずかしくなってしまう。
「ふふ、別にコソコソする必要はありませんよ。ただ、立ち居振る舞いにしろ、この装束を身に付けている間は、こうして見られているという意識は必要かもしれませんね」
「……そうですね」
彼は途端に声のトーンを落とすと、耳を赤くしてその身体を縮こまらせた。
二人は目指す飲食店へと到着する。
既に店の前には長蛇の列が出来ていたが、彼らは裏口に通された。そのまま個室へと案内されると「何食べようかな」と呑気に構えている後輩を尻目に、ヴァレーは午後の講義のことをつらつらと考えていた。
「先輩、目が怖いですよ」
「え? ああ、すみませんね。なにせ年に一度の事ですから。それにどうにもああいった場は慣れなくて」
怖いと言われてしまった目元を緩めて、彼は後輩へと向き直る。慣れないと言うのは事実だが、緊張などとは無縁であるし、いざ話し始めれば口はよく回る方だった。ただ、段取りはしっかりと確認しておくに越したことはない。
「いやいや、先輩の講義は演説みたいだって上の人間からも大好評なんでしょう? そのおかげで、聴講者の四割はその場でカリキュラムの申込書にサインしてしまうんですよね。決して安くはないコースなのに。
後から申し込まれた数も含めると六割近くになると聞きましたよ。私は先輩がこうして講義をなさる前に受講したクチなので、勿体無いことをしたと思っていたんですが……。いや、そのおかげでこうして少しでも早くここに来れた事と、今日みたいに間近でその手腕を拝見出来るのならそれはそれで良いんですけどね」
「私もいつも驚いているのですよ。実績についてもきちんと説明していますし」
「確かに、去年まで採用実績ゼロはなかなかインパクトありますね」
話に夢中になっていた青年の前に、冷水を注いだコップが差し出された。
「あ、すみません! 気が利かなくて……」
慌てて青年は自らの面を外すと、その傍らに置く。
彼の顔は、ヴァレーの記憶の中にあるその姿と殆ど変わりが無かった。その後輩の顔を見ると目を細め、「貴方は昔と変わりませんね」と懐かしむように言うと、自身の面を外して軽く首元を寛げた。
その瞬間、青年の眼差しが目の前の人物へと釘付けになる。その姿を捉えると、はっと驚いたように息を呑んだ。
「わ、先輩。随分と雰囲気が変わりましたね。激務とは聞いていましたが……!」
目の前の先輩の容姿は、医局時代とはすっかり違って見えた。
肩ほどまで伸ばしっぱなしの髪はざっくりと後ろで束ねられ、目の下の隈は色濃く、口元には軽く無精髭が残されている。
元々の相貌は目鼻立ちがはっきりとしており、医局時代はその整った容姿で沢山の人を惹きつけていた。もちろん青年とてその一人だったのは言うまでも無い。
しかし、この五年ほどの間に、その顔にはワーカホリックのテクスチャが、がっちりと貼り付けられてしまっていた。
「……驚きましたか? 医局の頃を知る人にはもう殆ど、素顔では会っていませんからね」
「驚いたは驚きましたが……先輩、それはそれで私としては有りですが、およそ医者の容貌ではありませんね」
半ば労うように、そして、彼とこうして顔を突き合わせて話せる事の嬉しさを噛み締め、またその容姿への驚きを慌てて自らの中で咀嚼しながら青年は言う。
「ええ、そうでしょうね」
ヴァレーはそう言うと、自嘲気味に笑った。
「髭くらいはあたらないんですか?」
青年は目の前の顔をまじまじと見つめていた。当たり前だが、ベースの顔の良さは全く変わらない。口には出さないが、むしろ長髪と無精髭で男臭さと色気には磨きがかかっているように感じる。
「必要ありますか? どうせほどんど面を被ったままなのに」
ヴァレーはその熱の篭もった視線を遮るよう、ややめんどくさそうに言うと自らの頬へと手をやった。
「いや、せっかく綺麗な顔なのになって」
「ふふ。私相手に、口説く練習にもならないでしょう。さあ、冗談はほどほどに、早く決めてしまいましょう」
彼はぶっきらぼうにそう言うと、手元のメニュー表に目を落とした。昔からこの先輩は容姿を褒められるのがあまり好きでは無い、と言うよりもどうにも気恥ずかしいようだ。
青年は彼を恋愛対象として見ているというつもりでは無かったのだが、その容姿と口調、そして上品な所作に独特の魅力を感じてしまい、半ば銀幕の向こうの人物の追いかけをするような憧れを、ずっと抱いていたのだった。
「——そうジロジロと人の事を見つめないでくださいな。どれにするか決めましたか?」
「あ、すみませんつい……! じゃあこの、スタミナ定食で」
ヴァレーは無言でオーダーのボタンを押した。彼は日替わりにするようだ。
「——量はどうされますか?」
「じゃあ、大盛りで」
それを聞き届けると、スタミナ定食の大盛り、日替わり定食は少なめのボタンが押下された。
「え? 少なめで大丈夫ですか?」
「ええ。あまり胃が重くてもいけないので」
「そうですか? もっとたくさん食べた方が良いですよ」
「貴方もあと五、六年もすれば分かりますよ。代謝が違いますから。それに昨日も講義の準備で遅くなったのでね。眠くなっても困りますし」
その後は研修医の頃の話題や知り合いの近況など他愛のない話をしているうちにそれぞれの頼んだ定食が届けられた。
確かに、話題の店とあって盛り付けや見た目、味にも申し分が無い。青年は、他のメニューも食べてみたいのでまた来ようかなと思っていた。声を掛ければ、また目の前の先輩は誘われてくれるだろうか。
やや不摂生であろうその姿を見て、半ば無理矢理にでもこうして外に連れ出した方がいいかも知れないな、と彼は思ったのだった。
◻︎
大講堂に辿り着くと、既に学生が集まり始めていた。
彼らの姿を見て、自分にもこんな頃があったな、と青年は懐かしむ。
「——先輩、私たちの仕事ですが、先輩が命を受けた時はそれこそどんな内容だか分からなかったんでしょう。決め手は何だったんですか?」
「教授に薦められるがままでしたから。あの時に戻れるなら断っていたでしょうね」
その言葉の先を尋ねようとしたのだが、講堂に人が集い、徐々に慌ただしくなってきたために機会を失ってしまった。
「あ、——そろそろお時間ですね、頑張ってください」
彼が小さく声を掛けると、ヴァレーは面の奥で小さく笑って首を縦に振り、壇上へと向かっていく。
「——あの先生、すっごい独特な話し方だったな。内容はすごく興味あるけど」
「お前、知らないのか? 有名人だよ。どこの所属だったとかの情報は分からないけど、王都の直属医師、地下医療刑務所の室長で精神分析官」
「さっきのガイダンスを聞くとまだまだ人材不足なんだって」
「ただほら、言ってただろ。採用実績がまだ一人だって。五年で? 信じられないな」
「それだけ少数精鋭なんだろ。それに、コースは取るだけ取っておいて損はないんじゃないかな。他にも活かせるかもしれないし」
そう言うと、学生は目の前の申込書にスラスラと署名を書き込んだ。
「え、もう申し込むのか? お前のところは金があるからいいよな。俺ちょっと考えるよ。バイト増やさなきゃ」
「俺もとりあえず出してこようかな」
「お前も? マジかよ……。申込の期限いつまでだっけ……」
青年は、その光景を感心するように見つめていた。確かに皆、その職務内容の困難さや採用実績の低さに言及し、納得しながらもその申込書にスラスラと署名をしていく。
煽るというわけではないのだが、やや学生の知的好奇心やチャレンジ精神をを刺激するような言い回しも良いアクセントになっているようだった。
聴衆を虜にしていたその渦中の男は、降壇すると青年の方へ颯爽と歩いて来た。
「先輩、お疲れさまでした。いやー、すっかり聞き入ってしまいましたよ」
「そう大した話ではないでしょう? 上からはもっと良いところばかりをと言われますが、嘘をつくのは性に合いませんからね。自らが真に勧めたいのであれば、もっと熱心に話すかもしれませんが。生憎そんなものでもありませんし」
先輩から熱心な勧誘なんか受けた日にはもう、それが何であれ誰彼構わずスコンと落ちてしまうだろうなと彼は余計な事を考える。
だが、先ほどからその職に対して向けられるやや否定的な物言いが気になっていた。
「そんなものではない、とは?」
「人員増加を頼み込んでいたのはもちろん私ですが、配属されたのが貴方と知って、正直驚きました。心強い反面、申し訳なさも感じてしまいましてね。ここ数年は、特に環境が良くありません。貴方は此方に来て数週間ですから、まだ影響は少ないでしょうが、そのうちに分かるでしょう。今後少しでも改善することを祈りたいのですが」
ヴァレーはそう呟くと、最近頓に増えてしまったなと感じる大きな溜息を吐き、申込書を持って受付に列を成している希望に満ちた王都医師見習い達を半ば憐れむように眺めた。
——それはなんとまあ、誤った導きであるのだろう。上層部の私腹を肥やすためだけのこの行為、彼らの期待はその数年後に殆ど全てが打ち砕かれるのだ。
例えそれを知っていたとしても、今のヴァレーには、どうする事も出来なかった。
講義の後片付けをしていると、時計台の鐘が厳かに鳴り響く。時刻は午後四時を指していた。
ヴァレーは青年に近づくと、彼の手から回収中の余った資料を預かり、声を掛けた。
「貴方、必要な物があればどうぞ今のうちに買っていらっしゃい。あの中ではなかなか満足に物も揃わないでしょう」
「わ、すみません。そうなんですよね、売店はあるけど品揃えが……。実はそろそろ、今の借家を引き払ってそちらに引っ越そうかと思っていまして」
それを聞くとヴァレーは怪訝そうに眉を顰める。
「貴方がそうしたいなら止めはしませんが、先ほどの私の忠告を聞いていましたか? 自らあの監獄に身を埋めたいとは、なかなかの物好きですね」
「い、いや、寮の方が仕事のお手伝いが出来る事も多いかと思ったのですが……。そう言う先輩は、いつからあちらに?」
「元々はそのつもりではありませんでした。帰る暇がなくなって、借家の更新も出来なかったので成り行きのようなものです。貴方、自由は権利ですよ。手放すのは簡単ですが、失った後に再度それを手にするのは難しいという事はきちんと心得ておくべきでしょう」
その雰囲気に気圧されたように、青年は、はぁ。と小さく声を漏らす。
「ああ、すみません、脅すつもりはなかったのですがね。貴方が来てくれて本当に助かっていますが、そう張り切っていただかなくとも大丈夫ですよ。貴方が優秀な事はよく知っていますから。根を詰められると私の立場がなくなります」
彼はそう言うと先程までの雰囲気を和らげてくすくすと笑った。
「いやいやいや……! あ、もし職場以外の場所に出たくなったら、私の家を使ってくださいよ。まあ、狭いし何もありませんけど……」
青年は降って湧いた褒め言葉に狼狽えつつ、また少し影を落としかけた話題を切り替えるように、そう言葉を返した。
「ふふ、そうですか。ありがとうございます。覚えておきますね」
ヴァレーがふと手元の端末を確認すると、新着のメール通知が目に入った。
——上司からに違いない。
連絡が来るのは分かっていたが、目の前の後輩を前にして、少しの罪悪感と、喉の奥がつかえる感覚がした。
「では、私はここで」
「先輩、何か用事でも?」
「ええ、私はこの後も、講義の後の打ち合わせと言いますか、残務処理です」
ちょっとどきりとするような、トーンを落とした声音と視線で彼は言う。
「お忙しいんですね、打ち上げでもしたかったんですが 夜には終わりますか?」
「時間が読めないのですよ。すみませんね、いつも貴方の誘いを断ってばかりで。お気持ちだけいただきます」
今朝確認をした共有スケジュールによると、確か先輩は明日も休みだったはず。
明日の予定は? と尋ねようとしたのだが、彼の休みなど殆ど無いことにふと気付くと、青年はその言葉を飲み込んだ。
——恐らく、休みの間も書類仕事や分析で手一杯なのだろう。確かに、まだ自分の置かれている状況は人道的な部類なのかもしれない。
彼はそう思うと、明日の仕事はいつも以上に、先輩の分までしっかりと頑張らないとな、と気を引き締めたのだった。